Letter 骨髄性悪性腫瘍:骨髄性悪性腫瘍におけるSETBP1の体細胞変異 2013年8月1日 Nature Genetics 45, 8 doi: 10.1038/ng.2696 本研究では、種々の骨髄性悪性腫瘍に関する全エキソーム塩基配列決定により、複数の腫瘍検体に認められるSETBP1の体細胞変異を同定したので報告する。この結果は、異型慢性骨髄性白血病(aCML)に関する最近の報告と一致する。SETBP1の体細胞変異は、Schinzel-Giedion症候群(SGS)で見いだされた生殖細胞系列の変異と同様にAsp868、Ser869、 Gly870、Ile871、Asp880という近接したアミノ酸の変化をもたらす。これらのSETBP1変異は二次性急性骨髄性白血病(sAML)患者の17%、慢性骨髄単球性白血病患者(CMML)の15%において検出された。高読取深度の塩基配列決定(ディープシーケンシング)を用いた今回の解析では、従来の塩基配列決定法に比べて、より高頻度に変異が検出されることが示された。SETBP1変異を有する患者では、予後不良因子と考えられる高齢およびモノソミー7や7q欠失(−7/del(7q))を含む7番染色体異常を示す傾向が認められた。経時的に得られた検体の解析からは、白血病が進行していく過程においてSETBP1変異が生じることが示された。変異型Setbp1の遺伝子導入をすることによりマウス骨髄前駆細胞の不死化が誘導され、また、これらの細胞は野生型Setbp1を導入した細胞に比べて、増殖能の亢進が観察された。機能獲得型変異であると推定されるこれらのSETBP1の体細胞変異は、骨髄性白血病への形質転換に関与するとともに、骨髄異形成症候群(MDS)やCMMLにおける予後不良因子であることが、今回明らかになった。 Full text PDF 目次へ戻る