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肺静脈閉塞症:EIF2AK4の変異は肺高血圧症の劣性遺伝性疾患である肺静脈閉塞症を引き起こす
Nature Genetics 46, 1 doi: 10.1038/ng.2844
肺静脈閉塞症(PVOD)は、肺高血圧症の稀であるが深刻な原因であり、組織学的には中隔静脈や前中隔細静脈の広範囲にわたる繊維性内膜増殖を特徴とし、また、肺の毛細血管の拡張や増殖に関連することが多い。PVODは、現在の肺高血圧症の分類では、肺動脈性肺高血圧症のサブグループである肺動脈性高血圧関連群に分類される。PVODは、孤発性症例あるいは、劣性遺伝様式に見える家族性症例のどちらかとして発症する。全エキソーム配列決定により、研究を行った13家系全てにおいてPVODと共分離するEIF2AK4(GCN2とも呼ばれる)の劣性遺伝性変異を検出した。我々は、組織学的に確かめられた孤発性PVOD症例20例のうち5例において、EIF2AK4の両対立遺伝子性の変異も見いだした。全ての変異が、ホモ接合性であれ、複合ヘテロ接合性であれ、遺伝子機能を破壊した。これらの知見は、EIF2AK4がPVODの発症に関連する主要な遺伝子であることを示しており、肺高血圧症の複雑な遺伝的構造の理解に向けて大きく寄与した。