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コヒーシン症:SGOL1の突然変異は心臓と腸のリズムを狂わせるコヒーシン症を引き起こす
Nature Genetics 46, 11 doi: 10.1038/ng.3113
心臓や腸に存在する特殊な細胞のペースメーカー活性は、生涯にわたる律動的な収縮をもたらす。本論文では、フランス系カナダ人16人およびスウェーデン人1人において新たに見つかった慢性の心房-腸律動異常を特徴とする症候群(CAID症候群)について述べる。我々は、コヒーシン複合体の構成要素の1つであるSGOL1に生じた、ただ1つの共通したホモ接合性の創始者突然変異がCAID症候群の発症原因であることを明らかにした。患者由来の培養皮膚繊維芽細胞では、細胞周期の進行の促進、老化率の亢進、TGF-βシグナル伝達の活性化亢進が観察された。核型は、セントロメア領域内の接着に異常がある場合に典型的に現れる線路状の形態をとっていた。患者から取り出された組織では、腸神経系においても平滑筋においても、病理学的変化が認められた。さらに、ゼブラフィッシュにおいてモルフォリノによってsgol1をノックダウンしたところ、CAID症候群患者のヒトで観察される異常が再現された。今回得られた知見は、これまで報告されていない非限局性の律動異常としてCAID症候群を特定し、SGOL1とコヒーシン複合体が、ヒトの心臓および腸の律動の安定性維持を成立させる際に果たす新たな役割を示唆するものである。