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筋萎縮性側索硬化症:eIF2αリン酸化の治療を目的とした調節は筋萎縮性側索硬化症の疾患モデルにおいてTDP-43の毒性を救済する
Nature Genetics 46, 2 doi: 10.1038/ng.2853
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、主として運動ニューロンが障害される、致死的な後期発症型神経変性疾患である。TDP-43やアタキシン2を含む、ALSに関連する多くのタンパク質の一致する特徴として、ストレス顆粒に局在することが明らかになっている。意外なことに、我々は、ストレス顆粒を調節する遺伝子が、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)およびキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)においてTDP-43の毒性を強力に調節することを見いだした。eIF2αのリン酸化はハエにおいてTDP-43の毒性によって上方制御され、また、TDP-43はストレス顆粒の中心的構成要素であるポリA結合タンパク質(PABP)と相互作用する。ヒトALSの脊髄ニューロンでは、PABPが異常に蓄積することから、長期にわたるストレス顆粒機能不全が発症機序に寄与する可能性が示唆される。我々は、ALSモデルにおけるeIF2αリン酸化に与える低分子阻害剤の効果を検討した。この阻害剤で処理すると、ハエおよび哺乳類のニューロンにおいてTDP-43の毒性が軽減された。これらの知見は、長期にわたるストレス顆粒の形成によって引き起こされた機能不全が直接ALSに寄与する可能性および、この過程を軽減する化合物が新しい治療アプローチになる可能性を示している。