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多発性神経鞘腫:LZTR1の生殖細胞性機能喪失型変異は遺伝性疾患の1つである多発性神経鞘腫の素因となる

Nature Genetics 46, 2 doi: 10.1038/ng.2855

22q11.23に位置するSMARCB1の先天的変異が、神経鞘腫症の症例のうち家族性のほぼ50%、孤発性の10%未満で見つかっている。本論文では、神経鞘腫症の患者8人の22q染色体上にある、進化の過程で保存度の高い領域の塩基配列を決定した。これらの患者の神経鞘腫では、22qのSMARCB1およびNF2を含む領域の1コピーが体細胞において消失していた。それと同時に、全ての神経鞘腫においてNF2のもう一方の対立遺伝子に異なる体細胞変異が見つかったが、血液および腫瘍試料においてもう一方のSMARCB1対立遺伝子には変異が生じていなかった。そして、患者8人のうち7人において、LZTR1の生殖細胞変異が見つかった。また、同じ分子特性を呈する別個の12人の患者に対してLZTR1の塩基配列を決定し、新たな9種類の生殖細胞変異を同定した。さらに、LZTR1変異の保持に関するヘテロ接合性の消失が、今回検討した25例全ての神経鞘腫に見つかった。検証しうる罹患第一度近親者において、LZTR1の変異は多発性神経鞘腫とともに分離していたが、親世代の無症候性の4人においてもLZTR1に変異が生じていた。今回得られた知見は、22qに関連している神経鞘腫症のうち、SMARCB1に変異が存在しない場合のほぼ80%において、LZTR1が常染色体優性遺伝性疾患である多発性神経鞘腫の素因となる遺伝子の1つであることを明らかにするものである。

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