Technical Report

何百ものcis調節の全体像を、ただ1回のハイスループット実験によって高解像度で解析する

Nature Genetics 46, 2 doi: 10.1038/ng.2871

発生および分化の過程における遺伝子発現は、遺伝子間や遺伝子内のcis調節エレメントが構成する複雑なネットワークによって細胞特異的かつ時期特異的な調節を受ける。cis調節エレメントは、ゲノムにおける存在数および存在状態が構造遺伝子のそれよりはるかに上回る。染色体高次構造捕捉(chromosome conformation capture)を用いることで現在では、個々の座位におけるエンハンサー、サイレンサー、境界エレメント、プロモーターの間の相互作用を詳細に解析すること可能である。しかしながらこの技法は、解析対象が多数の大規模な実験には不向きである。本論文では、cis相互作用の解析を目的としたハイスループットなアプローチ(Capture-C)を紹介する。この方法は、数百もの特異的相互作用を、1回の実験のみにおいて高解像度で調べるというものである。今回我々は、このアプローチによって詳細なゲノムワイド解析が容易となり、cis作用性配列による遺伝子発現の調節についての一般原理を明らかにできることを示す。複雑な疾患と関連を示すSNPは、遺伝子間のcis作用性調節エレメントに非常に多く存在する。Capture-Cを行うことで、標的遺伝子と、このようなSNPの機能的影響も迅速に同定されることについても触れる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度