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白血病:RAGが仲介する組換えはETV6-RUNX1急性リンパ芽球性白血病における発がん性再編成の主要なドライバーである
Nature Genetics 46, 2 doi: 10.1038/ng.2874
ETV6-RUNX1融合遺伝子は、小児の急性リンパ芽球性白血病(ALL)症例の25%に見られ、子宮内で獲得されるが、顕性白血病となるにはさらに体細胞変異が起こることが必要である。我々は、エキソーム配列決定および低深度(低読取り深度)の全ゲノム配列決定を行い、白血病形質転換に関連する二次的事象の特徴付けを行った。RAGが仲介する欠失は、主要な変異過程として出現し、次のような特徴を持つ。すなわち、切断点近傍の組換えシグナル配列モチーフの存在、接合部への非鋳型配列の組み込み、B細胞発生において活発に転写される遺伝子のプロモーターおよびエンハンサーでおよそ30倍豊富に見られること、頻発性構造バリアント(多様体)の非頻発性構造バリアントに対する予想外に高い割合が挙げられることである。単一細胞追跡により、RAGが仲介する欠失が白血病の進展全体にわたって活性化されていて、この欠失が局所的にクラスター化し、反復して見られる証拠が得られた。点変異および再編成のデータを統合することで、ATF7IPおよびMGAが、ALLにおける2つの新しい腫瘍抑制因子遺伝子であることが明らかになった。従って、通常はB細胞分化を調節する遺伝子のプロモーター、エンハンサー、第一エキソンを標的とした、非常に簡潔な変異過程がETV6-RUNX1陽性リンパ芽球を形質転換させる。