ミトコンドリア：ショウジョウバエにおけるミトコンドリア変異の伝播と浄化選択の作用

多コピーのミトコンドリアゲノムの変異が選択によってどのような影響を受けるかはよく分かっていない。ミトコンドリアに変異を持つショウジョウバエDrosophila melanogasterの胚間で細胞質を移行させることにより、2つのミトコンドリア遺伝子型を伝達するヘテロプラスミー系統を作製した。温度を上げてシトクロムオキシダーゼに影響を与える温度感受性変異を淘汰するような選択を引き起こし、変異を持つゲノムが世代を経て減少する結果を得ることができた。この選択はショウジョウバエの健康状態や妊孕性には影響を与えなかったが、卵形成中期にゲノム間の競合に影響を与えた。ミトコンドリアは、選択的な局在、生存ないしは増殖の有利性をもたらしているかもしれないが、park変異に対する時間的調節や非反応性から示唆されたことは、優先的な増殖のしやすさが選択の基礎に関与しているということだった。選択は、温度感受性ミトコンドリアゲノムを野生型ゲノムで完全に置き換えたが、有害な変異を補完し合う2つのゲノムを安定化させることも引き起こした。これらはよくバランスがとれていて、安定に伝達される変異は有害な表現型をもたらさなかったが、それらが世代を経て存在することは、病気の表現型と体細胞老化に関係しうるものである。