コメ：Chalk5はコメの乳白粒に影響する液胞のプロトン輸送性ピロホスファターゼをコードする

コメの販売および消費では、品質に関わる形質として、乳白粒が極めて望ましくないものとなっている。しかし、この形質の分子的基盤はほとんど明らかにされていない。今回我々は、重要な量的形質遺伝子座（QTL）であるChalk5が、穀粒の乳白に影響を与えるほか、完全粒歩留など、それ以外の多くの品質的形質も左右することを明らかにした。Chalk5は、無機ピロリン酸（PP_i）加水分解活性およびプロトン輸送活性を示す液胞のプロトン輸送性ピロホスファターゼ（V-PPase）をコードする。Chalk5が高発現すると、内乳の乳白が悪化する。これは、発達する種子の内膜輸送系のpH恒常性が撹乱され、そのことがタンパク粒の生合成に影響して小型の小胞様構造体の大幅な増加を伴うことによるもので、その結果、内乳の貯蔵物質の間に空気間隙が形成されて乳白粒が発生するものと考えられる。今回の研究結果は、イネ品種のChalk5プロモーターに存在する2つの共通の塩基多型が、穀粒の乳白の自然変異に寄与するChalk5のmRNAレベルの差を部分的に説明する可能性を示している。