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骨腫瘍:軟骨粘液繊維腫では遺伝子融合およびプロモータースワッピングによってGRM1が活性化されている

Nature Genetics 46, 5 doi: 10.1038/ng.2927

グルタミン酸受容体が中枢および末梢の神経系において機能していることはよく知られており、グルタミン酸シグナルの伝達経路に起こった変化は神経疾患ならびに精神疾患のいくつかに関係している。そして、このような受容体が腫瘍の増殖にも関与している可能性についての認識が高まりつつある。本論文では、局所浸潤性骨腫瘍である軟骨粘液繊維腫(CMF)の発症に対する、グルタミン酸シグナル伝達の異常の関与についての直接的な証拠を示す。一連のCMFに対して全ゲノムメイトペア塩基配列決定およびRNA塩基配列決定を行い、グルタミン酸受容体遺伝子GRM1がプロモーターの交換(スワッピング)や遺伝子融合を介して、数種のパートナー遺伝子と組換えを起こしていることを見つけた。GRM1のコード領域は全く損なわれてはおらず、20のCMFのうち18(90%)において、対照の健常骨組織に比べて、GRM1の発現が100倍超から1400倍まで上昇していた。今回得られた知見は、GRM1を直接的な標的として生じた変化が、CMFの発症に必須であり、発症を極めて特異的に促進していることを、明らかに説明するものである。

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