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DNA二本鎖切断:TDP2は不完全なトポイソメラーゼ活性から転写を防御し、正常な神経機能に必要とされる
Nature Genetics 46, 5 doi: 10.1038/ng.2929
トポイソメラーゼII(TOP2)は、DNAに一過性に二本鎖切断(DSB)を導入することによって、DNAからねじり応力を除去し、遺伝子の転写を促進する。このようなDSBは通常はTOP2によって再連結されるが、時々、不完全になり、連結されないことがある。我々は、知的障害、発作および運動失調の見られる人において、「不完全な」TOP2誘導性DSBを修復する酵素であるチロシルDNAホスホジエステラーゼ2をコードする遺伝子TDP2のホモ接合性変異を同定した。我々は、これらの人に由来する細胞がTOP2誘導性DSBに高感受性であること、また、培養ヒト細胞およびマウス分裂後ニューロンにおいて、TDP2の欠損が、不完全なTOP2活性に続くTOP2依存性遺伝子転写を抑制することを示す。特に、TDP2は、発生中のマウス脳の多くの遺伝子転写産物(神経学的機能や神経学的疾患に関連する多数の遺伝子転写産物を含む)の正常なレベルや、マウス小脳の正常な介在ニューロン密度にも必要であることは重要である。まとめると、これらのデータは、TOP2による染色体切断が、遺伝子転写や正常な神経の発達や維持に対する内因性の脅威であることを示している。