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神経膠腫:びまん性内在性橋膠腫と小児非脳幹性高悪性度神経膠腫のゲノム基盤

Nature Genetics 46, 5 doi: 10.1038/ng.2938

小児の高悪性度神経膠腫(HGG)は、診断後2年の生存率が20%未満という深刻な疾患である。今回、びまん性内在性橋膠腫(DIPG)および脳幹以外のHGG(NBS-HGG)を含む小児HGG127例に対して、全ゲノム、全エキソーム、およびトランスクリプトームの塩基配列決定を行った。その結果、ACVR1の反復性体細胞変異をDIPG(32%)において同定した。またDIPGおよびNBS-HGGの両方で、既に報告されているヒストンH3遺伝子、TP53および ATRXの高頻度体細胞変異を確認した。そして、融合遺伝子が生成されたことによる構造バリアントをDIPGとNBS-HGGの47%で検出した。ここで、ニューロトロフィン受容体遺伝子NTRK1NTRK2NTRK3との反復性遺伝子融合が、幼児のNBS-HGGの40%において認められた。さらに、受容体型チロシンキナーゼ–RAS-PI3Kシグナル伝達、ヒストン修飾やクロマチン再構築、細胞周期調節を標的とした変異を、DIPGやNSB-HGGをはじめとする小児HGGのそれぞれ、68%、73%、59%において検出した。今回の包括的な解析によって、脳幹および脳幹以外の小児HGGの発症に関与する経路(独自および共通の経路)についての手掛かりが得られた。

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