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黒色腫:POT1の機能喪失型バリアントは家族性黒色腫の素因となる
Nature Genetics 46, 5 doi: 10.1038/ng.2947
CDKN2Aに生じた有害な生殖細胞系列バリアントは、家族性黒色腫(メラノーマ)症例のおよそ40%に見られる。そして、CDK4、BRCA2、BAP1、TERTのプロモーターにまれに見つかるバリアントもこの疾患との関係が報告されている。本論文では、新たな、浸透率の高い黒色腫感受性遺伝子の同定を目的として、イギリス、オランダ、オーストラリアで集められた105家系の黒色腫患者184人に対して塩基配列決定を行った。この184人は、既知のリスク遺伝子にバリアントの存在が認められないことが分かっている人たちである。その結果、黒色腫と、POT1(protection of telomeres 1)遺伝子の機能喪失型バリアントが同時に分離している複数の家系が見つかった。さらに、これらの家系の一部では、幼児期に発症する複数の原発腫瘍が認められた。この機能喪失型バリアントは、POT1 mRNAのスプライシングに影響するものと、進化の過程で高度に保存されている、POT1のオリゴヌクレオチド/オリゴ糖結合(OB)ドメインの重要なアミノ酸残基を変更し、POT1とテロメアの結合を損なわせてテロメアの伸長を引き起こすものとの、どちらかであることを明らかにした。こういった知見から、POT1バリアントが、テロメアに直接的な影響をもたらすことで、黒色腫の発症素因となることが示唆される。