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巨脳症候群:サイクリンD2の安定化を引き起こすCCND2de novo変異は巨脳・多小脳回・多指・水頭症候群を引き起こす

Nature Genetics 46, 5 doi: 10.1038/ng.2948

ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)-AKT経路の構成要素をコードする遺伝子の活性化変異は、巨脳・多小脳回・多指・水頭症候群(MPPH、OMIM603387)を引き起こす。本論文では、上流にあるPI3K-AKT経路の変異を持たないMPPH患者は、CCND2(サイクリンD2をコードする)のde novo変異を持つこと、また、これらの変異は、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3β(GSK-3β)によってリン酸化されうる残基周辺に集中していることを報告する。変異型CCND2は、野生型CCND2よりもin vitroにおいてプロテアソームによる分解に抵抗性であった。PI3K-AKT経路はGSK-3β活性を調節し、また、PIK3CAPIK3R2あるいはAKT3に変異を持つ人由来の細胞は、同様のCCND2蓄積を示した。CCND2は、活性化AKT3を発現するマウス胎仔脳において、より高いレベルで発現していた。in uteroエレクトロポレーション法(電気穿孔法)により変異型CCND2をマウス胎仔脳へ導入すると、形質導入されたより増殖する前駆細胞が生じ、また、エレクトロポレーション法により野生型CCND2を導入した細胞より、細胞周期から脱出する前駆細胞の分画が小さかった。これらの観察は、CCND2変異あるいはPI3K-AKT活性化によって引き起こされるサイクリンD2の安定化が、PI3K-AKT関連の巨脳症候群における統一機構であることを示唆している。

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