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歯原性腫瘍:エナメル上皮腫でのSMOおよびBRAF変異の頻発
Nature Genetics 46, 7 doi: 10.1038/ng.2986
顎の局所的破壊性の歯原性腫瘍であるエナメル上皮腫の80%以上で、HedgehogおよびMAPキナーゼ経路に発がん性の変異が見られることを、保管試料のゲノム解析により同定したので報告する。上顎骨のエナメル上皮腫では、Smoothened(SMO)タンパク質をコードしているSMOの変異が一般的だが、下顎骨の腫瘍ではBRAFの変異が大部分を占める。SMOに頻繁に起こるp.Leu412Pheをコードする変異体は活性化変異体であり、そのHedgehog経路に及ぼす影響は三酸化二ヒ素(ATO)で抑制できることを示す。ATOは抗白血病治療薬として米国FDAに認可され、現在そのHedgehog抑制活性について臨床試験が行われている。同様の機序でp.Val600GluをコードするBRAFの活性化変異を持つエナメル上皮腫は、BRAF抑制薬vemurafenibに感受性である。我々の発見はエナメル上皮腫の診断的分類と治療に新しい視点をもたらすものである。