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脳腫瘍:エキソーム配列決定により、脳幹神経膠腫におけるPPM1Dの体細胞性機能獲得性変異を同定

Nature Genetics 46, 7 doi: 10.1038/ng.2995

脳幹および視床に生じる神経膠腫(グリオーマ)は、外科的な切除が困難な、深刻な腫瘍である。このような腫瘍の遺伝学的およびエピジェネティックな全体像を決定するために、14例の脳幹神経膠腫(BSG)と12例の視床神経膠腫についてのエキソーム配列決定を行った。我々はさらに、24例の神経膠腫(BSGと視床神経膠腫)の標的変異解析、および45例の神経膠腫のゲノムワイドなメチル化プロファイリングを行った。こうした解析の結果、これらの腫瘍に特徴的なH3F3Aの変異(p.Lys27Met置換をコードする)を持つBSGの37.5%に、wild-type p53-induced protein phosphatase 1D(WIP1)をコードするPPM1Dの腫瘍特異的変異が見られることを発見した。PPM1D変異は、BSGにおいてTP53の変異と相互排他的に存在し、in vitroにおいてp53の活性化を減弱させた。PPM1Dの変異は、エキソン6の短縮型変化を引き起こすことで、PPM1DのDNA損傷応答チェックポイントタンパク質CHK2の活性化を抑制する能力を増強させた。これらの結果は、脳幹神経膠腫では、PPM1Dが、頻発する体細胞性変異の標的であること、また、有望な治療標的であることを明らかにするものである。

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