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鉄代謝:鉄代謝における赤血球調節因子としてのエリスロフェロンを同定
Nature Genetics 46, 7 doi: 10.1038/ng.2996
失血からの回復には、赤血球の産生を亢進するために大幅な鉄の供給増が必要となる。出血後に鉄代謝調節ホルモンのヘプシジンの機能が抑えられると、鉄吸収が促進され、貯蔵鉄が動員されるようになる。今回、ストレス性赤血球産生に際してヘプシジンの機能抑制を担うホルモン、エリスロフェロン(ERFE)を発見したので、報告する。ERFEは、赤芽球によってエリスロポエチンに反応して産生されていた。ERFE欠失型マウスでは出血後、ヘプシジンに対する抑制がすぐに起こらず、失血からの回復に遅れが認められた。ERFEは、中等症型サラセミアモデルマウスであるHbbth3/+変異型マウスにおいて著しく高発現しており、それにより、中等症型サラセミアに特徴的であるヘプシジンの抑制および全身性の鉄過剰がもたらされていた。