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変異誘発:遺伝的解析が容易な変異誘発法でヒト体細胞に肉腫を作製

Nature Genetics 46, 9 doi: 10.1038/ng.3065

ヒトの正常細胞から遺伝的解析が容易な腫瘍を任意に作製する方法を見つけることは、重要な課題である。本論文では、レトロウイルスとトランスポゾンを併用して挿入変異を誘発し、ヒト初代細胞を出発材料としてがん遺伝子を発見する方法を作り出したので報告する。まずレンチウイルスを用いて、続いてSleeping Beautyトランスポゾンを用いて、ヒトの体外培養骨組織の間充織細胞(間葉細胞)のゲノム全体に機能獲得型もしくは機能喪失型の遺伝子破壊断片を導入した。このような条件で迅速に作り出されたde novo腫瘍は、進行性の粘液線維肉腫であった。腫瘍細胞における挿入部位は、複数種のがんで体細胞コピー数異常が頻発する領域に多く存在していた。挿入部位の知見から、患者に引き続き体細胞変異を引き起こすような新たなドライバーがん遺伝子を特定できる可能性が考えられた。多数の組織に由来する10個の腫瘍のうち複数の腫瘍で2q37.3の欠失が認められた。このことから、腫瘍抑制因子の候補として、RNA結合タンパク質ヴィジリン(vigilin)をコードしているHDLBPを同定した。今回考案したウイルスとトランスポゾンを用いたハイブリッド法によって、生殖細胞での遺伝子組み換えを行うことができない高等真核生物における挿入変異誘発スクリーニングが可能になることから、がんゲノムの機能アノテーションが加速すると期待される。

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