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中枢神経系疾患:電位依存性カリウムチャネル遺伝子KCNH1の変異がテンプル・バライスター症候群およびてんかんを引き起こす

Nature Genetics 47, 1 doi: 10.1038/ng.3153

テンプル・バライスター症候群(TBS)は、多臓器発達障害で、知的障害、てんかん、母指や母趾の爪の低形成あるいは無形成を特徴とする。本論文では、TBS患者6人において、主に中枢神経系(CNS)に発現する電位依存性カリウムチャネルのKCNH1〔EAG1(ether á go-go)やKV10.1と呼ばれるタンパク質をコードする〕に、機能を障害するde novo変異が見られたことを報告する。アフリカツメガエル(Xenopus laevis)卵母細胞およびヒトHEK293T細胞の両方において変異型チャネルの特徴付けを行うと、活性化閾値の低下と脱活性化の遅延が見られたことから、TBSに関連するKCNH1変異は有害な機能獲得を引き起こすことが実証された。この結果と一致して、TBS小児患者の母親2人(てんかんの病歴があるが、それ以外は健康)が、病因となるKCNH1変異の低レベル(10%および27%)モザイク保因者あることが分かった。この知見は、最近の報告とも一致しており、てんかんを含む、原因の分からないCNS疾患の多くの病因が、病因となるモザイク変異によって説明されるかもしれないことを実証している。

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