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骨髄増殖性腫瘍:ATG2BおよびGSKIPの生殖細胞性重複は家族性骨髄性悪性腫瘍の素因になる
Nature Genetics 47, 10 doi: 10.1038/ng.3380
家族性骨髄増殖性腫瘍(MPN)の主要な素因遺伝子はいまだ同定されていない。本論文では、血縁関係にある4家系において常染色体性優性遺伝で伝達される700kbの重複が、MPNといった、白血病の発症を伴うことの多い骨髄性悪性腫瘍の素因となることを明らかにした。人工多能性幹細胞および初代培養細胞においてATG2BおよびGSKIPを過剰発現すると、巨核球などの造血前駆細胞のトロンボポエチン(TPO)反応性が増強され、その分化が亢進されることを示した。MPN発症に際してATG2BとGSKIPは、JAK2、MPL、CALRの獲得性変異と協調的に機能していた。従って生殖細胞系列の細胞に生じた重複によって、シグナル伝達経路構成因子の変異を有する細胞の適応度が変化し、発がんの確率が上昇した可能性がある。