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肝がん:ヒト肝細胞がんに頻発するAAV2関連の挿入変異誘発

Nature Genetics 47, 10 doi: 10.1038/ng.3389

肝細胞がん(HCC)は、アルコール摂取や、B型肝炎ウイルス(HBV)あるいはC型肝炎ウイルス(HCV)による感染をはじめとするさまざまな病因に関連する肝臓の腫瘍である。それ以上のリスク要因はまだ同定されておらず、特に肝硬変を起こさずにHCCを発症する患者のリスク要因は分かっていない。本論文ではHCC 193例のうち11例において2型アデノ随伴ウイルス(AAV2)のクローン組み込みが見られたので報告する。これらのAAV2の組み込みは、既知のがんドライバー遺伝子、つまりCCNA2(サイクリンA2、4例)、TERT(テロメラーゼ逆転写酵素、1例)、CCNE1(サイクリンE1、3例)、TNFSF10(tumor necrosis factor superfamily member 10、2例)、KMT2B(lysine-specific methyltransferase 2B、1例)に起こっており、その標的遺伝子の過剰発現を引き起こした。ウイルスの組み込みがある腫瘍は、主に非肝硬変のがんを発症し(11例中9例)、また既知のリスク要因を持たなかった(11例中6例)ことから、これらの患者においてAAV2が病原性の役割を担っていると考えられる。結論として、AAV2はヒトHCCの発がん性挿入変異誘発に関連するDNAウイルスであることが導かれた。

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