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肉腫:SMARCA4の不活性化はBAF欠損肉腫に転写的に関連する未分化胸部悪性腫瘍の1群を定義する
Nature Genetics 47, 10 doi: 10.1038/ng.3399
RNA塩基配列決定により未分類の肉腫のコホートを調査し、19症例にSMARCA4(BAFクロマチンリモデリング複合体のATPアーゼサブユニットをコードする)の不活性化が見られることを明らかにした。臨床的には、これらの症例は全て非常に類似しており、30~35歳の成人における圧迫性の縦隔・肺腫瘤として表れ、生存期間の中央値は7カ月である。これらの腫瘍の疾病分類学的な位置付けを定義するのに役立たせるために、下記のがんとトランスクリプトームのプロファイルを比較した。すなわち、SMARCA4変異がある高カルシウム血症を示す卵巣小細胞がん(SCCOHT)、SMARCB1が不活性化された悪性横紋筋様腫瘍(MRT)、肺がん(この10%にSMARCA4変異が見られる)と比較した。遺伝子プロファイリング解析から、この腫瘍は肺がんとは異なっているが、MRTやSCCOHTに関係があることが実証された。トランスクリプトーム解析とさらに免疫組織化学による確認から、SOX2の高発現が浮き彫りになった。SOX2はこれらの腫瘍とSMARCA4欠損肺がんとの鑑別診断に役立つマーカーである。症例データを前向きに収集することにより、このような「SMARCA4欠損胸部肉腫」という新しいカテゴリーが臨床診療で容易に認識できることが確認され、その治療管理を個別化する機会が得られた。