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劣性遺伝性発達障害:4,125家系での遺伝子型と表現型の確率的なマッチングにより4つの劣性遺伝性発達障害を発見
Nature Genetics 47, 11 doi: 10.1038/ng.3410
常染色体劣性遺伝性疾患に関連する遺伝子の発見は、血族婚である多発家系などの大規模な解析や、明確な臨床症状を示す血縁関係のない個人の小コホートの解析にもとづくことが多い。一方、希少で遺伝学的異質性を示す発達障害の新しい主要因の発見は、さまざまな表現型の両親および子の3人組(トリオ)から構成される大規模コホートのエキソーム解析によって大きな変革が訪れた。本論文では、希少で遺伝学的異質性を持つさまざまな発達障害の見られる4,125の家系について解析し、4つの新しい常染色体劣性遺伝性疾患を同定した。この4つの疾患は、メンデル遺伝に基づくフィルタリング法(同一遺伝子に含まれる有害と推定される希少バリアントを両対立遺伝子性で持つ発端者を選択すること)と、(i)観察された遺伝子型を一般集団から抽出できる尤度、および(ii)同一候補遺伝子の劣性遺伝性バリアントを持つ患者の表現型の類似性の統計的な評価を統合することで明らかになった。この新しい枠組みから、特に、臨床症状があまり一貫しない、あるいは非特異的な疾患や、主に複合ヘテロ接合性遺伝子型により引き起こされる疾患などの、新しい劣性遺伝性疾患の発見の促進が期待される。