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ヘキソース輸送:ヘキソース輸送体の最近進化したバリアントがコムギにおいて複数の病原体に対する抵抗性を与えている

Nature Genetics 47, 12 doi: 10.1038/ng.3439

コムギ(Triticum aestivum)などの作物に病気を引き起こしたり、収穫量を減少させたりする病原体種は多数存在するので、複数の病原体に対する抵抗性を付与する単一遺伝子は作物の改良に有益である。複数の病原体に対する抵抗性機構の基盤については、ほとんど解明されていない。今回我々は、比較ゲノミクス、変異誘発および形質転換を用いて、コムギLr67遺伝子が、コムギさび病原体の全3種、およびうどんこ病に対する部分抵抗性を付与することを明らかにした。Lr67抵抗性遺伝子はヘキソース輸送体(LR67res)をコードすると予測される。これは、感受性型(LR67sus)のタンパク質と比べると、オルソログのヘキソース輸送体で保存されている2つのアミノ酸が異なっている。糖の取り込みの評価から、LR67susおよび相同遺伝子の対応する対立遺伝子にコードされる近縁タンパク質が、高親和性グルコース輸送体として機能することが分かった。LR67resは、これらの機能的な輸送体とのヘテロ二量体化により優性ネガティブ効果を発揮することで、グルコースの取り込みを減少させる。感染した葉でのヘキソース輸送の変化が、複数の生体栄養性病原体種の増殖を低下させる性質の説明になるかもしれない。

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