Perspective
パーキンソン病:多系統レビー小体病とその他のパーキンソン症候群
Nature Genetics 47, 12 doi: 10.1038/ng.3454
パーキンソン病の遺伝的なタイプである多系統レビー小体病(MLBD:multisystem Lewy body disease)に着目して論じ、MLBDの解析が多くの孤発性パーキンソン病の発症機序解明につながる手掛かりを提供することを示す。遺伝学的に分類したサブタイプについての病理診断から、病因となる遺伝子変異は共通だが病気に至るメカニズムが異なる症例の区別が見込めること、異なる対立遺伝子に由来する転帰に違いが現れることが分かり、遺伝要因と環境要因の相互作用の解析に使用可能な疾患関連バリアントについての情報が得られた。十分に特徴が明らかになっている転帰予測に基づいた分子機序に従ってパーキンソン症候群をサブタイプにきちんと分類することは、このような多様な病態を呈する神経変性疾患を研究対象として、患者由来の細胞モデルを用いて詳細に論じるために必要な基盤である。また同時に、臨床現場で収集されたデータを、従来の定義基準に基づいた収集により生じるノイズや間違いなどについて減らし、治療法の選択や研究のために確実に利用していく上でも必要である。