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薬剤耐性:アルテミシニン耐性の熱帯熱マラリア原虫の遺伝的構造

Nature Genetics 47, 3 doi: 10.1038/ng.3189

アルテミシニン(第一選択薬として使用される抗マラリア薬)に耐性を示す熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)について行われた、多施設での大規模なゲノムワイド関連研究について報告する。東南アジアの15の地域から得たマラリア患者試料において、kelch13(PF3D7_1343700)のpropellerドメインおよびBTB/POZドメインをコードする領域に影響を与える少なくとも20個の変異を同定した。これらの変異は、アルテミシニン誘導体を用いた治療後の、マラリア原虫除去率の遅延に関連していた。また、fd(フェレドキシン)、arps10(apicoplast ribosomal protein S10)、mdr2(multidrug resistance protein 2)、crt(クロロキン耐性輸送体)の非同義多型もアルテミシニン耐性と強固な関連を示した。このマラリア原虫集団の詳細な構造の解析から、fdarps10mdr2crtの多型が、kelch13変異が特に生じやすい遺伝学的背景のマーカーであること、また、それらがアルテミシニン耐性の現在の地理的境界や集団頻度と相関することが示された。これらの知見は、新しく耐性を引き起こす変異の出現リスクは、寄生虫集団を基礎とする特異的な遺伝的素因によって決定されることを示している。

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