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骨肉腫:Sleeping Beautyによる順遺伝学的スクリーニングから骨肉腫の発生と転移を引き起こす新しい遺伝子や経路が明らかになる

Nature Genetics 47, 6 doi: 10.1038/ng.3293

骨肉腫は骨の肉腫で、骨芽細胞あるいはその前駆細胞に由来するが、転移する傾向が強い。骨肉腫は大規模なゲノム不安定性に関連しており、そのためヒト腫瘍あるいは典型的マウスモデルを用いてドライバー遺伝子を同定することが困難であるが、骨肉腫の多くにはTrp53機能の喪失が関与していることは分かっている。骨肉腫の発生や転移を引き起こす遺伝子を同定するために、Trp53の体細胞喪失があるマウスとないマウスにおいて、Sleeping Beauty(SB)トランスポゾンを基盤とする順遺伝学的スクリーニングを行った。119の原発腫瘍と134の転移巣の共通挿入部位(CIS)解析から、骨肉腫の発生に関連する232部位と転移に関連する43部位が明らかになった。CIS解析で明らかになった関連遺伝子には、既知および新規の骨肉腫関連遺伝子が多数含まれており、ErbB、PI3K-AKT-mTOR、MAPKのシグナル伝達経路に豊富に存在していた。また、軸索ガイダンスに関与するいくつかのがん遺伝子を同定し、例えばSema4dおよびSema6dは、ヒトの骨肉腫におけるがん遺伝子であることを機能的に確認することができた。

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