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高血圧:PDE3A変異は短指症を伴う常染色体優性の高血圧を引き起こす

Nature Genetics 47, 6 doi: 10.1038/ng.3302

心血管疾患は世界的に最も一般的な死因であり、また高血圧はその重要なリスク要因である。メンデル遺伝型高血圧の研究から血圧調節の機構が明らかになっている。本論文では、メンデル型高血圧および短指症E型(HTNB)が見られる血縁関係のない6家系において、PDE3A(ホスホジエステラーゼ3Aをコードする)の6個のミスセンス変異を同定したことを報告する。この症候群の特徴は、短指症E型(BDE)、塩分に非依存的であるが年齢に依存的である重度の高血圧、繊維芽細胞増殖率の増加、吻側延髄腹外側野での神経血管の接触、圧受容器反射による血圧調節の変化、治療を受けないと50歳前の脳卒中による死亡、である。間葉系幹細胞に由来する血管平滑筋細胞(VSMC)や軟骨細胞のin vitro解析から、分子的な発症機序を理解する手掛かりが得られた。これらの変異は、プロテインキナーゼAが仲介するPDE3Aリン酸化を増加させることで機能獲得を引き起こし、cAMPを加水分解する活性の増加や細胞増殖の増強を引き起こした。これにより、リン酸化VASPレベルの低下、およびPTHrPレベルの脱調節が引き起こされた。我々は、今回同定されたPDE3A変異がこの症候群を引き起こすと考えている。血管平滑筋細胞に発現するPDE3Aは、高血圧治療の治療標的として精査する価値がある。

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