Letter

痛み:転写調節因子PRDM12はヒトの痛覚に必須である

Nature Genetics 47, 7 doi: 10.1038/ng.3308

痛覚は、皮膚の損傷や危険な環境に対して生体に注意喚起するための警告機構として発達した。ところがヒトの不快な高度疼痛すなわち慢性疼痛に対する治療は、最適なレベルに達しておらず、社会的問題として一般的かつ重大なものとなっている。先天性無痛症(CIP)患者の研究から、 新たな治療オプションが最近になって登場した。本論文では、11の家系のCIP患者において、10種類のホモ接合性の変異をPRDM12(PRDI-BF1 and RIZ homology domain-containing protein 12をコードする)に同定したことを報告する。ここで、マウスPrdmタンパク質はエピジェネティックな調節を担うタンパク質ファミリーの一員で、神経細胞の運命決定や神経形成を制御している。今回、Prdm12が侵害受容器およびその前駆細胞で発現していること、またアフリカツメガエルXenopus胚における感覚ニューロンの発生に関与していることを明らかにした。さらに、CIPに関連した変異によって、野生型Prdm12で観察されるヒストン修飾能が失われることを示した。組織的に行われる感覚神経形成の鍵となるタンパク質として注目を集めることになったPrdm12は、新たな疼痛治療の標的となると期待できる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度