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DHA輸送:脳でのオメガ3脂肪酸輸送に必要なMFSD2Aの不活化変異は致死的な小頭症症候群を引き起こす

Nature Genetics 47, 7 doi: 10.1038/ng.3311

ドコサヘキサエン酸(DHA)は脳に最も豊富に存在するオメガ3脂肪酸であり、不可欠であると考えられているが、その欠乏が疾患に結び付いているという報告はない。脳のリン脂質には大量のDHAが含まれているが、DHAは脳で合成されているわけではない。DHAは、MFSD2A(major facilitator superfamily domain-containing 2a)タンパク質を介して血液脳関門(BBB)を横断し、脳内に輸送される。DHAは、他の脂肪酸と同様にリゾホスファチジルコリン(LPC)の形でMFSD2Aにより輸送される。我々は、MFSD2Aの保存された残基に変異がある2家系を同定した。このような変異を持つ人には、LPC脂質の取り込みが不十分であることに関係した致死的な小頭症症候群が見られた。細胞を基盤とするアッセイでは、このようなMFSD2A変異により輸送活性の低下が見られた。また、mfsd2aaモルファントゼブラフィッシュに変異型MFSD2Aを発現させても、小頭症、BBB破壊、致死性を回復できなかった。我々の結果は、MFSD2AによるDHAおよびLPCの輸送とヒト脳の発達や機能の間の関連を確立することで、ヒトにおけるDHA輸送に関連する単一遺伝子性疾患の最初の証拠を示している。

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