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LPC輸送:ナトリウム依存性リゾホスファチジルコリントランスポーターMFSD2Aの部分的不活性化変異は非致死的な小頭症症候群を引き起こす
Nature Genetics 47, 7 doi: 10.1038/ng.3313
脳が血液中から、必須のオメガ3脂肪酸を獲得する主要な経路は、血液脳関門の内皮に発現しているナトリウム依存性のリゾホスファチジルコリン(LPC)トランスポーター(MFSD2A)を介している。本論文では、高度に保存されたMFSD2A残基(p.Ser339Leu)に影響を与えるホモ接合性変異が、知的障害、痙縮、言語発達障害を特徴とする進行性の小頭症症候群に関連していることを示す。p.Ser339Leuの変化はタンパク質あるいは細胞表面での発現に影響を与えないが、トランスポーター活性を完全にではないが大きく低下させることが分かった。この変異を持つ人はモノおよびポリ不飽和脂肪アシル鎖を含むLPCの血漿濃度が有意に増加していることから、脳での取り込み低下が示され、MFSD2Aがモノおよびポリ不飽和脂肪アシル鎖を含むLPCに特異性を持つことが確認されたことは重要である。総合的に、これらの知見は、ヒトの脳の発達や機能におけるLPCの不可欠な役割を示しており、ヒトにおける脳への異常なLPC輸送に関連する疾患を初めて報告している。