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miRNA:Trbpは、miRNAを介したSox6の抑制を通して心機能を調節している
Nature Genetics 47, 7 doi: 10.1038/ng.3324
心筋症は収縮タンパク質をコードする遺伝子の発現の変化と関連している。今回、RNA結合タンパク質であるTrbp(Tarbp2)が、正常な心機能に必要であることを示す。マウスにおいてTrbpを心臓特異的に不活性化(TrbpcKO)することで、進行的な心筋症と致死的心不全が起こった。Trbpの機能欠失により、Sox6の発現上昇、正常の心臓の遅筋線維タンパク質をコードする遺伝子の抑制、さらに骨格筋の速筋線維タンパク質をコードする遺伝子の病的発現上昇が認められた。特筆すべきことに、Sox6のノックダウンはTrbp変異体マウスの表現型を完全に回復させ、一方でSox6を過剰発現するとTrbpcKOと同じ表現型を呈した。Trbpの不活性化は、Sox6の直接的阻害因子であるmiR-208aのプロセシングの変化を介したSox6の発現上昇と機構的に関連していた。遺伝子導入によりTrbpcKOマウスにMir208aを過剰発現させると、Sox6はよく抑制され、速筋と遅筋線維タンパク質の遺伝子発現のバランスが戻り、心機能が回復した。以上をまとめると、今回の研究により、正常な心機能に不可欠な一連の遺伝的カスケードの調節において作用する、新しいTrbpを介したマイクロRNAプロセシング機序を同定することができた。