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イネ:イネ亜種間の硝酸利用の差にはNRT1.1Bの多様性が寄与している

Nature Genetics 47, 7 doi: 10.1038/ng.3337

アジアで栽培されているイネ(Oryza sativa L.)には、インディカおよびジャポニカという2大亜種がある。インディカはジャポニカと比較して硝酸吸収活性が高いが、その活性の分子機構は明らかにされていない。今回我々は、硝酸トランスポーター遺伝子NRT1.1BOsNPF6.5)の多様性がこの硝酸利用の差に寄与している可能性を明らかにした。系統解析の結果、NRT1.1Bはインディカとジャポニカとで異なることが分かった。NRT1.1B-indicaバリアントは、硝酸の強力な取り込みおよび根からシュートへの輸送、ならびに硝酸応答性遺伝子の活発な発現と関係していた。NRT1.1B-indicaの選択に関するシグネチャーは、硝酸利用の分岐がイネ栽培植物化の過程で起こったことを示唆している。特に、準同質遺伝子系統および形質転換系統による圃場試験では、NRT1.1B-indica対立遺伝子を有するジャポニカ品種が、同対立遺伝子を持たない品種と比較して、有意に高い穀粒収量および窒素利用効率(NUE)を示すことが確認された。今回の結果は、NRT1.1Bの多様性がインディカとジャポニカとの硝酸利用の差をほぼ説明し、NRT1.1B-indicaがジャポニカの窒素利用効率を向上させる可能性のあることを示している。

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