Technical Report
調節配列:調節配列バリアントの影響をDNA配列から予測する方法
Nature Genetics 47, 8 doi: 10.1038/ng.3331
ゲノムワイド関連研究(GWAS)により得られた一般的なヒト疾患に関与する配列バリアントのほとんどは、非コード領域に存在している。調節配列の異常は高頻度に起こっている問題であるという示唆は得られているのだが、原因となるリスクバリアントを当該ゲノム領域内に同定することは難しい課題として残っている。今回、我々は調節領域のバリアントが持つ効果を予測するための配列ベースの新しい計算手法を示す。ここでは、細胞型特異的な調節配列のセットをコードするような分類法(gkm-SVM)を用いている。gkm-SVMスコアに生じた変化、すなわちdeltaSVMによって、バリアントの効果を定量化する。本報告では、ゲノム中のSNPがDNase I感受性に及ぼす影響をdeltaSVMによって正確に予測できることを示す。また、いくつかのエンハンサーに起こった高密度の変異誘発が及ぼす影響をレポーターアッセイで調べたところ、結果を正確に予測することができた。これまでに実証されているGWASのSNPは、大きなdeltaSVMスコアを示す。また、いくつかの自己免疫疾患について新規のリスクを与えるSNPを予測した。このようにdeltaSVMは、機能的な調節領域バリアントを系統的に同定するための有力な計算手法である。