Article

前立腺がん:前立腺がんの遺伝学的素因の関わるリスクSNPによる長鎖非コードRNAの調節

Nature Genetics 48, 10 doi: 10.1038/ng.3637

長鎖非コードRNA(lncRNA)は、がんリスクをもたらす候補として注目を浴びている。我々は、前立腺がんのゲノムワイド関連研究(GWAS)のゲノムデータやSNPデータをlncRNAトランスクリプトームデータと統合して解析し、前立腺がんのリスクに関連する45の候補lncRNAを明らかにした。そして、最も強力な関連を示すPCAT1について、その原因となる機構を評価した。その結果、rs7463708に位置するリスク関連バリアントが、PCAT1プロモーターとループを形成する遠位エンハンサーへの結合を増大することで、アンドロゲン長期投与時のPCAT1の発現上昇を引き起こすが分かった。ONECUT2は、アンドロゲン受容体(AR)と相互作用する新規の転写因子である。さらにPCAT1は、ARおよびLSD1と相互作用し、前立腺がんの発がんやプログレッションに関与するアンドロゲン遅延応答型遺伝子であるGNMTおよびDHCR24のエンハンサーにARおよびLSD1が動員されるのに必要であった。PCAT1はin vitroおよびin vivoにおける前立腺がん細胞の増殖や腫瘍の成長を促進した。これらの知見は、リスク関連SNPが前立腺の形質転換を促進する重要な機構の1つが、lncRNA発現の調節であることを示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度