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ヒストンのメチル化:ヒストンH3K9のメチル化は線虫の1種(Caenorhabditis elegans)の発生には必要ないが、RNA:DNAハイブリッドに関連する反復配列の不安定化を抑制する
Nature Genetics 48, 11 doi: 10.1038/ng.3672
ヒストンH3リシン9(H3K9)のメチル化は保存された修飾で、一般的に転写を抑制する。線虫の1種(Caenorhabditis elegans)では、抑制されている組織特異的遺伝子や反復配列にこのメチル化修飾が豊富に存在している。全ての種類のH3K9メチル化(H3K9me)が欠損しているmet-2 set-25二重変異体では、胚は正常に分化するが、成体は生殖細胞系列のDNA損傷誘導性の大規模なアポトーシスにより不妊である。またトランスポゾンや単純な反復配列は生殖細胞系列および体細胞組織の両方において抑制が解除される。このようなプログラムされていない転写は、反復配列特異的な挿入および欠失、コピー数多様性、Rループの発生率の上昇、および複製ストレスに対する感受性の上昇と相関する。我々は、H3K9me2あるいはH3K9me3が、転写誘導性の複製ストレスを抑制することで、反復配列が豊富なゲノムの安定化および保護を行うものであることを提案する。