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平常時血清トリプターゼ高値:平常時血清トリプターゼ高値からTPSAB1のコピー数増加に関連する多系統疾患が明らかになる
Nature Genetics 48, 12 doi: 10.1038/ng.3696
平常時血清トリプターゼ高値は一般集団の4~6%に見られるが、そのような高値の原因や意義は分かっていない。これまでに我々は、優性遺伝性の平常時血清トリプターゼ高値が見られる人が、皮膚の紅潮や痒み、自律神経障害、機能的な胃腸症状、慢性痛、関節の過可動性を含む結合組織異常など、多系統の症状を示すことを報告した。本論文では、多系統の症状を示す35家系における遺伝性の平常時血清トリプターゼ高値が、αトリプターゼをコードするTPSAB1遺伝子の生殖細胞系列での重複および三重複と分離することを報告する。αトリプターゼを3コピーコードする対立遺伝子を持つ人は、2コピーコードする対立遺伝子を持つ人より、平常時血清トリプターゼ値がより高く、症状が顕著であったことから、遺伝子量効果があると考えられた。さらに2つのコホート(172人)において、平常時血清トリプターゼ高値がTPSAB1のαトリプターゼをコードする塩基配列の重複に排他的に関連することを見いだし、また、これらの人は我々の最初の家族性コホートで見られた症状群を示すことが報告されている。従って、我々の知見はTPSAB1の重複が過敏性腸症候群、皮膚症状、結合組織異常、自律神経障害とつながりがあることを示している。