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皮膚疾患:KLHL24ユビキチンリガーゼの安定化変異はケラチン14を消失させ、ヒト皮膚の脆弱性を引き起こす
Nature Genetics 48, 12 doi: 10.1038/ng.3701
皮膚が健康な状態にあることは外圧および外傷からの保護に必須である。ケラチンのような皮膚構造タンパク質に生じた不具合は、表皮水疱症(EB)に代表される、生命に関わる皮膚の脆弱性の原因となる。本論文では、cullin 3–RBX1型ユビキチンリガーゼの基質受容体をコードしているKLHL24の優性変異がEBを引き起こすことを明らかにする。今回の研究では、EB患者5人において、KLHL24の開始コドンに変異が生じているのが見つかった。この変異によって、最初の28アミノ酸が欠落した短縮型KLHL24タンパク質(KLHL24-ΔN28)が生じる。KLHL24-ΔN28は、自己ユビキチン化が起こらないために野生型よりも安定である。さらに、ケラチン14(KRT14)がKLHL24の基質であることを明らかにし、KLHL24-ΔN28によってKRT14の過剰なユビキチン化および分解が引き起こされることを見つけた。ノックインモデルマウスを用いて、Klhl24に変異が生じるとKlhl24-ΔN28が安定化され、Krt14の分解が起こることを確認した。今回得られた知見から、自己ユビキチン化の調節異常という新たな疾患発症機序を明らかにすることができ、関連疾患の治療に向けての新たな道が開かれた。