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シロイヌナズナ:シロイヌナズナの春化におけるFLCのポリコームサイレンシングは、シス低温記憶配列とトランスエピゲノムリーダーにより仲介される

Nature Genetics 48, 12 doi: 10.1038/ng.3712

一部の植物は、季節的な気温の低下すなわち冬季の低温を経ることで、春季に開花する能力を獲得しており、そのプロセスは春化と呼ばれている。シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)で長期の低温曝露を行うと、強力な開花抑制因子座位であるFLOWERING LOCUS CFLC)が、ポリコーム群(PcG)タンパク質によりエピジェネティックなサイレンシングを受けるようになる。そしてこのサイレンシングは、その後に温暖な気温が回復して生育および発達するときに、安定して維持される。今回我々は、FLCのPcGサイレンシングに関するnucleation region(核形成領域)のシス調節性DNA配列、および2つの相同的なトランス作用エピゲノムリーダー(読み手)VAL1およびVAL2が、春化によるFLCのサイレンシングを制御することを明らかにした。配列特異的なリーダーは、そのシス作用配列(「低温記憶配列」と命名)およびヒストンH3の27番目のリシン残基のトリメチル化(H3K27me3)という抑制標識の両方を認識してLIKE HETEROCHROMATIN PROTEIN 1(LHP1)と直接結合し、それによって春化中にFLCの核形成領域のH3K27me3ピークが確立される。このように、本研究は、DNA配列特異的なエピゲノムリーダーによるPcG仲介サイレンシングのメカニズムを明らかにした。

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