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眼疾患:CTNNA1の変異は、蝶形色素ジストロフィーと網膜色素上皮細胞の恒常性維持の異常を引き起こす
Nature Genetics 48, 2 doi: 10.1038/ng.3474
蝶形色素ジストロフィーは眼の疾患で、網膜黄斑に存在する蝶の翅の形に似た病変領域を特徴とする。本論文では、蝶形色素ジストロフィーの3家系において、複数のヘテロ接合性ミスセンス変異がCTNNA1(αカテニン1をコード)に生じていることを見つけたので報告する。さらに、化学物質誘発性変異体マウスtvrm5に、Ctnna1のミスセンス変異を同定した。蝶形色素ジストロフィー患者およびtvrm5マウスの網膜色素上皮(RPE)では、網膜色素上皮異常、限局性病変の肥厚および増加、光活性化応答の減退をはじめとする、類似した表現型が観察された。tvrm5マウスの形態学的な検査を行ったところ、RPE細胞の脱落の増加や、多核化したRPE細胞が見つかった。このことは、細胞間接着や細胞質分裂に異常が生じていることを示唆している。今回の研究は、黄斑ジストロフィーの原因となるCTNNA1の遺伝子バリアントを同定し、CTNNA1がRPEの恒常性の維持を担っていることを示し、細胞間接着にかかわる別の因子が黄斑疾患に関係している可能性を示唆するものである。