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黒色種:ぶどう膜黒色腫におけるGタンパク質共役受容体CYSLTR2に頻発する活性化変異
Nature Genetics 48, 6 doi: 10.1038/ng.3549
ぶどう膜黒色腫は皮膚のメラノーマと分子的に区別されており、BRAF、NRAS、KIT、NF1の変異を有さず、その代わりに、GNAQとGNA11、およびPLCB4(phospholipase Cβ4)に活性化変異を持つ。GNAQとGNA11は、Gαq/11ヘテロ三量体Gタンパク質の相同性の高い2つのαサブユニットをコードしている。またPLCB4はGαq/シグナル伝達経路の下流のエフェクター分子である。我々は136例のぶどう膜黒色腫サンプルのゲノムデータを解析して、GNAQとGNA11とPLCB4に変異を欠く9例中の4例に、CYSLTR2(cysteinyl leukotriene receptor 2)のp.Leu129Gln置換をもたらす変異の頻発を見つけた。上記の遺伝子に変異がある127例には、この変異は1つも見つからなかった。Leu129Gln CysLT2R変異タンパク質は、内在性のGαq/受容体を構成的に活性化し、ロイコトリエンによる刺激に無応答になる。Leu129Gln CysLT2Rのメラノサイトでの発現は、メラノサイト系列の発現に特異的なシグナチャーをもたらし、in vitroでのホルボールエステル非依存性の増殖を推進し、in vivoでの腫瘍形成を促進する。本研究はCYSLTR2がぶどう膜黒色腫のがん遺伝子であることを示唆し、Gαq/シグナル伝達がぶどう膜黒色腫の腫瘍発生に果たす必須な役割に脚光を当てるものである。