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神経発生:MeCP2と相互作用する転写コリプレッサーSIN3Aのハプロ不全は大脳皮質の完全性の発達に影響を及ぼすことで軽度の知的障害を引き起こす
Nature Genetics 48, 8 doi: 10.1038/ng.3619
知的障害や自閉症スペクトラム(ASD)などの神経発達障害には多数の遺伝子が関連しているが、どのような機能が障害されるかとの関連についてはあまり解明されていない。本論文では、軽度の知的障害とASD、さらに顔貌異常、小頭症、低身長を含む顕著な特徴を共有する人において、転写リプレッサーでMeCP2と相互作用する因子のSIN3A(switch-insensitive 3 family member A、染色体15q24.2)をコードする遺伝子の優性変異を同定したので、これについて報告する。この表現型は非定型15q24微小欠失の人に高度に関連しており、SIN3Aとこの微小欠失症候群につながりがあると考えられた。脳の磁気共鳴画像化から、脳梁の低形成と脳室拡大を含む、わずかな異常が示された。発生中のマウス脳でのSin3aのin vivo機能的ノックダウンを行うと、大脳皮質神経発生の減少、ニューロンの独自性の変化および異常な皮質間投射につながった。総合的に我々のデータは、SIN3Aのハプロ不全が軽度の症候性知的障害に関連していること、またSIN3Aが脳の皮質発達の主要な転写調節因子であると考えられることを確立している。