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マルファン症候群:iPSCから作製したマルファン症候群血管モデルを用いて、平滑筋細胞死に極めて重要な仲介因子を同定

Nature Genetics 49, 1 doi: 10.1038/ng.3723

マルファン症候群(MFS)は遺伝性の結合組織の疾患で、細胞外マトリックスタンパク質であるフィブリリン1タンパク質をコードしているFBN1の変異によって引き起こされる。MFS患者における大動脈瘤発症の原因を探るため、ヒトの誘導多能性幹細胞(MFS-hiPSC)から血管モデルを構築した。このMFS-hiPSC由来の平滑筋細胞(SMC)において、マルファン症候群患者の大動脈で観察される病態が再現された。すなわち、フィブリリン1タンパク質の沈着、細胞外マトリックスの劣化、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)シグナル伝達、収縮性、アポトーシスなどにおいて異常を呈した。そしてこれらの異常は、CRISPRによってFBN1変異を編集することで修正された。TGF-βシグナル伝達を阻害すると、フィブリリン1の沈着やマトリックスメタロプロテアーゼの発現における異常が回復した。しかし、(TGF-βシグナル伝達の)非標準な経路であるp38を介する経路のみが、SMCのアポトーシスを調節していた。さらに、このアポトーシス誘導機序は、Krüppel様因子4(KLF4)によっても制御されていた。このiPSC疾患モデルは、MFS発症の分子基盤の詳細な解析や、これまで明らかになっていなかった治療標的の同定をもたらし、新薬試験のための革新的なヒト版プラットフォームとなった。

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