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皮膚がん:Lgr6はマウス皮膚扁平上皮がんの幹細胞マーカーである
Nature Genetics 49, 11 doi: 10.1038/ng.3957
Gタンパク質共役受容体のLGR4、LGR5、LGR6はWntシグナル伝達のメディエーターであるが、扁平上皮がん(SCC)における機能は明らかになっていない。ここではLgr5–EGFP–CreERT2/Rosa26–TomatoおよびLgr6–EGFP–CreERT2/Rosa26–Tomatoレポーターマウスを用いた細胞系譜追跡により、Lgr6がSCCにおけるin vivoの上皮幹細胞マーカーであり、Lgr5はそうではないことを実証する。また、不死化ケラチノサイトにおける1分子in situハイブリダイゼーションと細胞選別により、ごく少数のLgr6陽性細胞を同定し、その割合が進行したSCCでは増加していることを示す。Lgr6の発現は幹細胞特性を有する細胞で髙く、in vivoにおけるLgr6のダウンレギュレーションは、表皮細胞の増殖を亢進させ、Lgr6陽性の表皮幹細胞に由来する細胞の増殖を伴うことが細胞系譜追跡により明らかになった。予期しなかったことであるが、Lgr6を生殖細胞系列でノックアウトしたマウスは、Lgr5の代償性アップレギュレーションを含む機構を介してSCCを発生しやすい。これらのデータは、RSPO1やLGR4をはじめとするWnt経路の遺伝子に生殖細胞系列機能喪失変異を有し、扁平上皮がん発生の感受性が高いヒト患者のモデル作製に役立つものである。