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SWI/SNF複合体:SMARCB1が仲介するSWI/SNF複合体機能はエンハンサーの調節に不可欠である
Nature Genetics 49, 2 doi: 10.1038/ng.3746
SMARCB1(別名、SNF5、INI1およびBAF47)は、SWI/SNF(BAF)クロマチンリモデリング複合体のコアサブユニットで、ほとんど全ての小児ラブドイド腫瘍で不活性化されている。この進行性のがんでは、ゲノムが非常に安定であり、SMARCB1の喪失による悪性形質転換はエピジェネティックな機構により引き起こされると考えられている。本論文では、ヒトのラブドイド腫瘍は、変異の全体像からは識別できないが、エンハンサーのH3K27acシグネチャーが特徴的で、これは分化プログラムの名残であることを明らかにする。SMARCB1は、SWI/SNF複合体の安定性に必要であり、SMARCB1が喪失するとエンハンサーへのSWI/SNF複合体の誘導が変化することが分かった。つまり、典型的なエンハンサー、特に分化に必要なエンハンサーへのSWI/SNFの結合が顕著に低下するが、スーパーエンハンサーへのSWI/SNFの結合は維持された。このような結合が維持されるスーパーエンハンサーはラブドイド腫瘍の生存に不可欠で、これにはSPRY1のような全てのサブタイプに共有されるスーパーエンハンサーと、脳由来のラブドイド腫瘍におけるSOX2といった細胞系譜特異的スーパーエンハンサーの両方が含まれる。総合的に我々の知見は、SMARCB1のがん抑制活性の基礎となる、クロマチンを基盤とする新しいエピジェネティックな機構を明らかにしている。