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がん転移:転移性膵がん患者間での既知がんドライバー遺伝子変異の不均一性は限定的
Nature Genetics 49, 3 doi: 10.1038/ng.3764
自然に起こった転移巣、つまり未治療の転移性病巣の中で、がんドライバー遺伝子の変異の間にどの程度に不均一性があるかについてはほとんど知られていない。この疑問に答えるために、4人の膵がんから得た26の転移巣について、全ゲノム配列決定(60倍の深度)を行った。その結果、既知のドライバー遺伝子における同一の変異が、対象患者のそれぞれの転移巣全てに存在することを見つけた。また、パッセンジャー変異が、これらは既知あるいは推定のいずれの機能上の影響も持たないが、腫瘍内部の不均一性の全てを説明できるものであった。かかるパッセンジャー変異を考慮しても、転移の創始細胞である細胞間に見られる遺伝的類似性は、正常組織からランダムに取り上げたどの2つの細胞間に見込まれる類似性よりもなお高かった。同一患者での転移巣間での既知のドライバー遺伝子変異の均一性は、進行したステージのがんの標的治療の今後について、重要かつ有望な示唆を与えるものである。