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発生異常:内因的に活性なMEKバリアントが発生過程のRasシグナル伝達に及ぼす異なる効果

Nature Genetics 49, 3 doi: 10.1038/ng.3780

Ras経路の構成要素の生殖細胞系列変異は、心疾患、精神遅滞、認知障害など、さまざまな構造的および機能的な表現型を特徴とするRASopathy(RAS/MAPK症候群)として知られる、大きなクラスのヒトの発達異常に関連する。RASopathyは経路の活性化レベルの変化によって引き起こされると一般的に考えられているが、発生中の組織におけるシグナル伝達の変化はほとんど分かっていない。本論文では、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)およびゼブラフィッシュ(Danio rerio)において時空間分解能でのアッセイを用いて、Ras経路のコア構成要素で、ヒトのRASopathyやがんでも変異が見られるMAP2K1(MEKをコードする)の変異によって引き起こされるシグナル伝達の変化を定量化した。意外なことに、内因的に活性なMEKバリアントは、in vivoでは経路活性化のレベルを上昇させたり低下させたりできることが分かった。このような効果の徴候は細胞の状況に依存することから、RASopathyに出現する表現型の一部はRasシグナル伝達のレベルの低下に加えて、上昇によっても引き起こされる可能性があることが示された。

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