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樹木:ゲノム配列の決定と集団ゲノム解析はオウシュウシラカンバの適応度地形を得る手掛かりとなる
Nature Genetics 49, 6 doi: 10.1038/ng.3862
オウシュウシラカンバ(Betula pendula)は、北方における樹木の先駆植物であり、開花が1年以内に誘導される。ライフサイクルが早いこと、ゲノムが小さいこと(440 Mb)、高度な生殖質を持つことから、シラカンバを森林バイオテクノロジーにおける魅力的なモデルとしている。我々は同系交配させたオウシュウシラカンバ個体のゲノムを組み立てた後、染色体上にアンカーした。古代の6倍体化イベントによる遺伝子重複は転写調節を豊かにしたが、縦列重複は環境応答によって多く出現していた。80個体にも基づく集団リシークエンシングから、有効集団サイズは主要な気候変動の時点で落ち込んでいることが分かった。選択的スイープ(選択的一掃)は、発生学的および生理学的に重要な事象を誘導する機能をコードするような配列の、倍数性の重複において多く見られた。このことは、局所的な適応が基本的な植物プロセスの時期やこれらのプロセスのクロストークを調節していることを示唆している。強く連鎖する光応答遺伝子PHYCとFRS10の周辺に見られる変異は、高度や緯度と気温に相関し、PHYCについては降水量とも相関する。同様の関連が見られることが、生長促進サイトカイニン応答レギュレーターARR1、および木質発生遺伝子KAKとMED5Aでも明らかになった。