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トランスポザーゼ:PGBD5はヒト腫瘍において部位特異的発がん性変異を促進する

Nature Genetics 49, 7 doi: 10.1038/ng.3866

ゲノム再構成はヒトがんの特徴である。本論文では、PGBD5(piggyBac transposable element derived 5)遺伝子が、致死性のラブドイド腫瘍(横紋筋肉腫様腫瘍)などの、大部分の小児固形腫瘍に発現する活性なDNAトランスポザーゼをコードしていることを明らかにする。アセンブリによる全ゲノムDNA塩基配列決定により、ヒトのラブドイド腫瘍において、これまで見つかっていなかったゲノム再構成を見いだした。これらの再構成では、PGBD5特異的シグナル(PSS)配列が切断点に位置しており、また、がん抑制遺伝子がしばしば不活性化されていた。PGBD5はゲノムのPSS配列と物理的に相互作用しているので、PSS配列ならばラブドイド腫瘍細胞でのPGBD5誘導性のDNA再構成を仲介できる。不死化した初代培養ヒト細胞においてPGBD5を異所的に発現させると、in vivoでの細胞の形質転換の促進がもたらされた。この活性にはPGBD5のトランスポザーゼドメインの特定の触媒残基と、末端結合DNA修復およびPSS切断点での構造再構成の誘導が必要であった。これらの結果は、PGBD5が発がん性変異誘発因子であることを明らかにし、また、小児および成人の固形腫瘍における部位特異的DNA再構成の説得力のある機構を示している。

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