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エピジェネティクス:シャルコー・マリー・トゥース病のMORC2変異によるHUSH複合体機能の過剰活性化
Nature Genetics 49, 7 doi: 10.1038/ng.3878
最近、MORC2遺伝子の優性変異が、軸索型のシャルコー・マリー・トゥース(CMT)病を引き起こすことが示されたが、MORC2の細胞機能はほとんど明らかになっていない。本論文では、ゲノムワイドなCRISPR–Cas9による順遺伝学的スクリーニングにより、MORC2がHUSH複合体によるエピジェネティックなサイレンシングに必要な必須遺伝子であることを示す。HUSHは、MORC2をヘテロクロマチンの標的部位に誘導する。DIVA(differential viral accessibility)という新しい方法を用いて、MORC2の喪失がこれらの標的座位でクロマチンの脱凝縮を引き起こすこと、これはH3K9me3標識の喪失と転写の脱抑制と同時に起こることを示す。MORC2のATPアーゼ活性は、HUSHによるサイレンシングに不可欠で、CMT患者によく見られるATPアーゼドメインに影響を及ぼす変化(p.Arg252Trp)は、神経細胞におけるHUSHによる抑制効果をさらに増強する。これらのデータはHUSH複合体によるエピジェネティックなサイレンシングにおけるMORC2の重要な役割を明らかにし、また、CMT病におけるMORC2変異の役割の基礎となる機構的基盤を示している。